バンドのフロント・マン!" Kikuo Fujikawa "

藤川 喜久男
<キーボード担当>

“プレイヤーと言うよりも単なる虎キチ親父!”

昨年の阪神タイガースの快進撃は痛快だった! 勿論、今年も大奮闘を期待せずにはいられない!
キーボード奏者の藤川氏は阪神タイガースの大ファンだ! ファンと、言うよりも極度の虎キチだ。私の母がまだ元気だった頃、
“タイガースが好きな、藤川君とは気が合うのよね”
と良く言っていた。そう、タイガース・ファンの結束はとても固い!

時は1974年、キーボード奏者を探していた頃、藤川氏は友人の友人のまた友人の紹介(全くの他人!)で、やって来た。私はキーボードをフューチャーしたサウンドを日夜夢見ていたが、キーボード奏者は本当に居なかった。(その当時の状況は、また別の機会に・・・)

サウンドのコンセプトを“Badgerのような華麗な〜”と言う形容で表現していた私は、まずBadgerを知っている/聴いているのが第一条件だった。そして、第二条件はロング・ヘアー!
藤川氏はこれまた究極のロング・ヘアー! しかもBadgerも聴いていた!

初めて会ったのは阪急3番街の紀伊国屋書店前だった。一目見れば分かる出で立ち! 兎に角、スリムで汚いロングヘアーの風貌が目立っていた。サングラスをかけ、BadgerのTony Kayeに似ていたとは言わないまでも、正にロック!といった雰囲気だった。
煙草も良く吸う!私も負けてはいないが、彼はそれ以上に吸っていた。勿論、銘柄は”ハイライト!”
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まぁ、こんなに永く(30年!)一緒のバンドでお付き合い出来るとは思ってもみなかったが、藤川氏は私が現在迄、出会った色んな人の中では、間違い無く異色ナンバー・ワンである。
ちょっと例を揚げて見ると・・・

其の一)
YesやE L & P, Crimsonやその他、詳しい音楽の事は全く理解していないのが凄い!で、自分の気に入ったソロの部分だけ録音して聴いている。先のBadgerもTony Kayeのハモンドのソロの部分のみ、しかも彼の当時の自宅のオーディオ・セットは左と右のスピーカーの型番が見事に違うのだから恐ろしい!

其の二)
藤川氏もまったくの独学、楽譜も苦手、理論もだ。しかし、変拍子には見事に対応する。練習してどうこうのと言うのとは次元が違う、何拍子が来ても、全く動じない! その見事なプレイには唖然、しかもラウドな音で弾き捲るから、こちらの耳は何時もパニックだ。で、普通のエイト・ビートの時は音が聴こえない?彼にとっては、この世の中でエイト・ビート程、やりにくい拍子はないのではなかろうか?

其の三)
楽器を購入するも、即売却するのも得意技! フェンダーのローズ・ピアノは2台、ヤマハのコンボ・オルガンもコルグのシンセも ローランドのシンセもその他・・・統べて購入して、売却、そして・・・
“俺はもうバンドはやらない!”
と豪語するもその決断はいつも、我々の交換条件に負け、またまた楽器を購入する。勿論、購入条件は、頭金なしの最長のローン! (ケースまで購入しないので、ケースのかわりにボロ毛布は必需品だ!)

其の四)
次回のリハーサルまでに聴いてもらおうと、新曲のデモ・テープをメンバーに渡すも、藤川氏はまったく聴いていない!聴いていないのには(毎度の事だから)別に腹も立たないけれど、そのテープに阪神タイガースのナイターの実況を録音するのだから・・・ 私の楽曲よりも阪神タイガースの方が余程大事とは???実に納得してしまう!

其の五)
リハーサルでは、全く人の話を聴かないのだから、これも凄い! 構成などは、何時も目で合図! そしてそれはライヴの時もまったく同じ!(我々のアンサンブルは目の合図が命!)

其の六) 阪神タイガースのナイターがある時は、リハーサル途中に抜け出すのは何時もだ。試合経過はバンドのリハーサルよりももっと大事! これも実に納得だ!

其の七)
関東にツアーに行った時、ライヴが終了/打ち上げも終わり、ホテルに帰って私は最後に、個々のメンバーに明日のチェック・アウトの時間を確認しに・・・ 藤川氏の部屋をノックすると、いきなり丸裸で出てきた!と思った矢先、ドアは見事にオート・ロックで閉ってしまった! 何故に私は深夜フロントまで走らなければならないのか????

其の八)
一昨年の暮に、藤川氏宅が新築したのでSax Jin氏と家庭訪問? に伺った時、門の横の草むらで黒い人陰が動いた!勿論夜だったので私は泥棒か?と思い、一瞬ひるんだ! その時“毎度!”とそれは藤川氏であった。一体、そんな処で何をしているのかね?

其の九)
その新築の藤川氏宅にお邪魔させて頂いたと思いきや、早速リヴィングのキーボードで弾き捲る藤川氏! 家族全員からブーイングの嵐なのは言うまでもない。しかし、凄い音! (数日後、隣人宅からもクレームを言ってこられた!)御子息の隼太君は私に
“受験勉強が出来ないので何とか言って下さい!毎日なんですよ”
なんて・・・一体どちらが親なのか????

不吉なメロディに不吉な和声、Ain Sophの音楽は気色悪いけれど、それでも、フロント・マン藤川氏の奏でるプレイは何時もメロディアスで良く歌う独特の雰囲気だ! そして、ミセス藤川(良き古き貴婦人のような?)とは藤川氏以上に親しい間柄だ。(変な関係ではないよ!)彼女は最高のAin Sophのファンでもある! Ain Sophのファン・クラブ?名誉会長だと断言できる!(当時のAin Sophのライヴは全て身に来られている!皆勤賞だ!)夫婦揃って、(御子息/御令嬢も)私にとっては本当に愛すべき人物だ!

リハーサルの時、
“藤川、そのコードどう言うヴォイシングなの?”
と言う私の問いかけに・・・藤川氏は何時も
“俺も良く分からん!適当!適当!適当でいいやん!”
と・・・大阪弁で答えてくる! もう30年も同じ問答の繰り返しだ!

本日の阪神タイガースのナイターの勝敗は如何に? それが一番大事! 藤川氏と共にタイガースは廻る!

by Yozox